愛しのルネ先生
5月に内藤ルネ展に行ってきました。残念なことに内藤ルネは、2007年の10月に亡くなってしまったので、地元愛知の展示会に顔を見せることはありませんでした。チケットの形がすごくかわいくて、買った目録にはさんでとってあります。(目録を読むとはらりと落ちてしまうので要注意)
原画はほとんど残っていないとのことで、当時の雑誌が紹介されてましたが、わたしは雑誌という形態が好きなのでそれほど不満には思いませんでした。「ジュニアそれいゆ」で手がけたという目次のレイアウトのかわいらしさ、カッコよさ。ルネのセンスのよさがうかがえます。少女まんがっていつから描かれたのかな。「ジュニアそれいゆ」は少女まんが雑誌ではなかったけれど、大きな目とくっきりした輪郭で描かれたルネの少女たちは、非常にまんが的で、師匠の中原淳一とも全然違うポップでキュートな輝きを放っていて、当時にしてみればものすごく斬新なものではなかったのかなあ。
(ウィキペディアを見ると手塚治虫の「リボンの騎士」は1963年から「なかよし」に連載されてるし、「なかよし」も1954年に創刊されてるんだね。ルネも多少はそうしたまんが的表現に影響を受けていたりするのかな)
少女雑誌での活躍以降の、おとなっぽい、どこか影のある少女の絵は、正直苦手だったんだけれど、今回改めて見てみたら、だんだん好きになってきました。人形のような無表情とうつろな目がイヤだったんだけど、どうしてルネはこういう女の子ばかり描いていたのかなあ。
ルネはかわいいものグッズでも一大ブームを作ったひとだった。ルネのデザインしたポップでかわいらしい陶器のパンダの貯金箱。イラスト。クラスのみんなが真似して描いていた。トマトのシール。親戚のおばさんも冷蔵庫に貼っていた。だけど流行りものってすぐに飽きられる。消費者が勝手に飽きるんだけど。その頃こどもだったわたしでも、あんなに夢中だったくせに、ブームが去ったとたん、ルネのデザインしたものたちを、「古くてださいもの」として扱った。それまでになかった新しいものを生み出していたひとだから、古くなるのも早くって、ルネの手がけた絵やグッズを追いながら、懐かしさとともに胸が痛くなりました。
ルネのファンが有志で集い、「それいゆ手芸集」の型紙などをもとにした再現人形を展示するトリビュート展「I LOVE RUNE」を、2001年から02年にかけて3回開催し、当時、忘れられつつあったルネの魅力を発信した。イラストレーターの森本美由紀が発起人となり、人形作家、手芸家、映像作家、ジュエリーデザイナー、バッグデザイナー、グラフィックデザイナー、会社員、雑貨店や古着屋に勤務する方など、さまざまな業種から20数名の参加者があった。
目録p.21
こうした有志による展示会がなかったらルネの仕事が再認識されることはなかったのかな。
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