美しいこと

美しいこと (ウィングス・コミックス)

美しいこと (ウィングス・コミックス)

もう10代の頃なんてとっくの昔のことなのに、ここで描かれている10代の女の子の感じる周りのひととのずれを、共感をもって受け入れることが出来る。過ぎた年月の分だけ、変わった、学んだ、成長したと思えることも多いのに、年をとっても変わらない、変われないとこがある。若いひとは、年をとったひとたちを、自分たちとは違う種類の人間として見たりする。年をとったひとも同じように、年の離れたひとたちをそのように扱ったりする。
でも基本的な、「感じること」は変わらないってことを、みんな頭に置いといてもいいんじゃないのかなあ。
主人公の女の子と違うところ。
主人公の女の子は通学の電車に乗っているときに見える家並みに、「このびっちり並んだ屋根の下全部に4〜5人ずつ人が住んでるのか!?」と、気持ち悪くなって吐いてしまうんだけど、わたしは同じものを見て同じことを思って、ほっとする。
電車から町並みを見て、ひとが住んで、生きて、それぞれがちまちまと生活していることを思ってほっとする。こんなにたくさんひとがいて、自分がそんな大勢の中のひとりであることにほっとする。
ハルヒはぞっとしたんだったっけか?
自分が特別な存在じゃないことに。
みんな特別でみんなおんなじだって思うんだけどな。ありんこみたいな存在だって思えるからこそ、自分が生きていることを許せる。生きていてもいいじゃないかって思えるんだけどな。